時代の変わり目に現れる、ユニークなデザインウォッチ。かつては一部の時計好きだけが支持する「色物」だったが、技術や市場の成熟は、今やデザインウォッチをひとつのジャンルに育て上げた。他にはない機構をデザインとして昇華させたのは、カルティエとルイ・ヴィトンだ。いずれも、極めて複雑なメカニズムを、ユニークな見た目に全振りしている。
対して、ありそうでなかったデザインを持つのは、ヴァシュロン・コンスタンタンとモンブランだ。前者は1920年代の風変わりなデザインを復刻させたもの、後者は24時間針1本という、大手メーカーらしからぬ意匠が特徴だ。どこかで見たような、しかし他にはないデザインは、外装に凝るこの2社ならではの試みである。
ジュエラーらしいアプローチでデザインウォッチを深掘りするのはブルガリだ。伸縮する、しかし適度な遊びをもつブレスレットには、老舗ジュエラーとしてのノウハウが詰め込まれている。デザインに振った個性派、というだけでなく、今の時計として、使えるだけの実用性を備えたこの5本。今や、時計はデザインだけで選んでもハズレなし、なのだ。
CARTIER
パラジウムケース×アリゲーターストラップ、手巻き、43.5mm径。世界限定100本。
CARTIER
ロトンド ドゥ カルティエ アストロミステリアス
分針を固定したムーブメント自体が、1時間に1回転する。ムーブメントを支える地板がサファイア製のため、ムーブメントが宙に浮かんだような印象を与える。かつてない機構をデザインに全振りした、21世紀を代表するデザインウォッチ。「アストロミステリアス」とは言い得て妙だ。
左:18Kホワイトゴールドケース×カーフスキンストラップ、手巻き、36.5mm径。¥3,608,000(ヴァシュロン・コンスタンタン)右:SSケース×ブラックテキスタイルストラップ、自動巻き、42mm径。
VACHERON CONSTANTIN
ヒストリーク・アメリカン 1921
1921年モデルの100周年を記念して製作。斜め向きの文字盤により、身に着ける人は腕の向きを変えることなく時間を確認できる。クッションケースや短いラグなど、レトロな要素に満ちているが、仕上げは現在の高級時計。ムーブメントも、現行手巻きを代表する傑作だ。
MONTBLANC
モンブラン 1858 オートマティック 24H
1本の針だけで時間を表示。針はなんと24時間で一周する。また、ベゼルに経年変化を楽しめるブロンズを採用したり、文字盤の地球が暗所で明るく光る、といった遊び心をちりばめている。どこかで見たことのある、しかし、どこにもなかったデザインウォッチの最右翼。
LOUIS VUITTON
SSケース(ブラックPVD)×アリゲーターストラップ、自動巻き、41mm径。¥4,631,000(ルイ・ヴィトンクライアントサービス)
LOUIS VUITTON
エスカル スピン・タイム オトマティック スティール レインボー
ミニッツリピーターを内製できるほどの実力を持つルイ・ヴィトン。文字盤に鮮やかな色を施す技術は他社の追随を許さない。そんな同社ならではの傑作がエスカルスピン・タイム。時を示すのは、針ではなく回転するキューブ。時以外の面には、カラフルなフラッグが描かれる。
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