きっかけは、何だっただろう。
この島へやってきたのは、何か、懐かしさのようなものを感じたからだった。
まるで、遠い昔に似た場所にいたような、そんな記憶。
街を選んだのは、青が好きなことと、人口がトップでもなく、かと言って極端に少なくもなくで、なんだかしっくり来たから。
ビンを作り始めたのは……どうしてだったろう。
開店してしばらくは、何をするか決まらずに、めちゃくちゃだった。
手持ちの、ここでは「外貨」になる金をむやみに突っ込んでポーション買い込んで。
地図周りの作業をアレコレやったり、顔料作りで乳鉢が欲しくなって、数が足りなくて自分で作ってみたりもしたっけ。
確か、一度は石工をやろうかと思ってたこともあったはずだ。
だけど、いつの間にか、ビン作りをはじめていた。
多分、まだ集会所に顔を出していた頃に、色々話していて決めたんだと思う。
ビン作りは、自分の性に合っている。面倒くさがりで、アレコレ考えるのも苦手で。
砂と炉だけを仕入れて、ガラスにして、ビンにする。
これくらいシンプルじゃないと、続かない人間なのだ。
そして、買ってくれる人がいる。つまり、誰かの役に立っている。
だから、続けられる。
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