さいく
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いい写真を考える

哲学。
 
 
 
今まで色々『「いい写真」とはなんなのか』みたいなやつ、死ぬほどみてきました。

例えば

「写真は止まっているからこそ、前後が想像できる写真」

「みた瞬間衝撃を覚える写真」

「ストーリーがある写真」

「自分で定義するんだ」

「パワーがある写真だ」

など。

分かるんだけど、僕の中で腹落ちしませんでした。それジャンルによるじゃんとか、でもこういうのもいいじゃんとかなってしまう。もう少し普遍的に説明してくれって感じ。

そこで色々寝起きに考えて、僕なりの考えをまとめた。うわーまじちらしの裏じゃん。最高。

芸術とはなんなのか

話の飛躍には自信があります。

写真も広義の芸術です。ということは普遍的に語る為、芸術全般に対しても普遍的に当てはめられないと気持ちが悪いです。そう、僕は定義したい。

芸術を深く理解しよう。アート。語源はアルス。さらにその語源はギリシャ語のテクネ、テクニックの語源でもあります。

テクネとは、内在する原理を正しく理解した上で何かをする、何かを作るという意味合いがあります。

芸術というよりもそれは技、技術の意味ですね。

かつてヒポクラテスは言いました

「Art is long, life is short」

芸術は長し、人生は短しと訳されてしまいますが、ヒポクラテスとは医者です。つまりアートと訳されているのはアルス、もっといえばテクネ、医術を指していたわけです。

医術を習得するのはたいへんだけど人生短いよねーとかいうことですね。

話が脱線してきました。

元々そういった技術に対して美しさを感じていたわけです。身体的なことと言ってもいいでしょう。技術は体を動かさないといけないですからね。

技術に感動するには共感するレベル、教養などが必要

ラテン語のアルスには学問という意味もあります。こういう場合よく例に出されますが、ピカソの絵画に感動するには一定の教養が必要であるように、見る側にも求められるものがあります。

そしてこれもよく言われますが、芸術とは「壮大な身内ネタ」です。身内ネタではありますがそれがマジョリティになる時は「共感性」があるという言い方になりますね。

だいぶわかってきました。共感性があるものは受け入れられるのです。「いいもの」です。

そろそろ写真に

写真において技術、共感性を考えてみます。

いきなりですが技術は写真の場合難しい問題です。現実写真はシャッターさえ押せば撮れますし、細かい技術はありますが写真という「あがり」からは同じ技術者でないと見えてきません。

困ったぞ、写真は芸術ではないのか? 芸術であったとしても、それは本当に身内ネタでしかないのか? だから最近業界ヤベーのか?

まぁきっとそれもひとつの答えなのでしょう。現在の一般的な日本人は写真から技術を感じ取れることは少ないはずです。

ただその中でも「人物」と「景色」の2点は評価を得やすいです。なぜかってみんなスマホで撮るからです。

自身のクソみたいな写真から比べたらプロの写真はなんとお綺麗なことか。技術がわかりやすいので感動しやすいのです。

写真業界は今、ポートレートと絶景だけが評価されやすいと言っても過言ではない状況ですが、その理由が僕はこれだと考えています。

そして写真に限定した部分

それは圧倒的な記録性の高さです。

絵画や彫刻など、他の芸術連中では歯が立ちません。

ここにまた共感を得られるチャンスがあります。

例えば絶景写真を見た時、そこに行きたいなーとか見てみたいなーとか、体を動かしてそこに行く想像ができます。

序盤で述べたように、身体的なことが分かりやすいというのは大事です。テクネ!

そこまで行って
そのシチュエーションに出会って
その瞬間に立ち会って

その上でしっかりと記録に残した「技術」に感動しやすいです。

えーとつまり?

芸術であるということと、いい写真というのは別個で考える必要があるわけです。ここはきっとすごい大事です。

芸術は技術なわけですから、その人がそうだといえばそうで終わり。

いい作品である、いい写真であるというのは見る側の感想ありきなので

鑑賞者の体験、人生経験、教養から共感を得られ、その上で技術の高さを示せる作品

これがいい写真、というか写真に限らず芸術作品全般における「いいもの」の定義です。

鑑賞者に委ねられる以上、自分の中の自然な発露とズレが生じることはあると思うので、自身が撮りたいのは「いい写真」か? それ自体を考えていく必要はありますが、構図などを考える際、どこまでを説明として入れるべきか? とかではとても参考になる考え方だと思います。

見る側次第だろ、ってのは何となく今までも頭にあったのですが、こうやって順序立てて考えることで僕は勝手にスッキリしています。終わり。

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