・第一節
ムの腰から出たものは、合わせて4人。泥船で流したはずのミミコは地上にいた。
・第二節
そしてアヌとアムは死に、その時代の人々もみな死んだ。
・第三節
けれどもミミコの子孫は多くの子を生み、ますますふえ、はなはだ強くなって、国に満ちるようになった。
・第四節
ここに、ミミコのことを知らない新しい王が、地の上に起った。
・第五節
彼はその民に言った、「見よ、ミミコびとなるこの民は、われわれにとって、あまりにも多く、また強すぎる。
・第六節
なので、抜かりなく彼らを取り扱おう。戦いの起るとき、敵に味方して、われわれと戦い、難なくこの国から逃げ去ることのないようにしよう」。
・第七節
そこで王の人々は彼らの上に監督をおき、重い労役をもって彼らを苦しめた。
・第八節
しかしミミたちが苦しめられるにしたがって、いよいよふえひろがるので、彼らはミミコの人々ゆえに恐れをなした。
・第九節
さらに王の人々はミミたちをきびしく使い、つらい務をもってその生活を苦しめた。
・第十節
すなわち、モアイ作り、および田畑のあらゆる務に当らせたが、そのすべての労役はきびしかった。
・第十一節
労苦の末、ミミたちはキャベツ畑の青虫にキャベツではなく砂糖水を与え、大事に育てることで、妖精を創り、慰めとした。
・第十二節
ミミたちと同じく、労役に苦しんでいるものとして、カイコがいた。
・第十三節
カイコは休みなく糸を吐き出し続けなければならなかった。糸を出す口が止まると串焼きにされ食べられてしまうことも、珍しくなかった。
・第十四節
主は ミミに言われた、
「あなたと家族とはみな箱モアイにはいりなさい。あなたが、この時代の人々の中で、わたしの前に、正しい人であると、わたしは認めたからである。わたしの民とはあなたたちのことである。
・第十五節
わたしは、地の上にいるわたしの民の悩みを、つぶさに見、また追い使う者のゆえに彼らの叫ぶのを聞いた。わたしは彼らの苦しみを知っている。
・第十六節
いまミミコの人々とその同胞の叫びがわたしに届いた。わたしはまた人々が彼らをしえたげる、そのしえたげを見た。
・第十七節
さあ、わたしは、あなたをつかわして、わたしの民、ミミコの人々を滅びから救い出させよう。」
・第十八節
「あなたがたは去るときに、むなし手で去ってはならない。
・第十九節
主人の金庫からあらゆる金銀と衣服を持ち出して、それを身に着けなさい。それから食糧庫の食べ物をすべて食べてしまいなさい。そうして黄金の羊にまたがり箱モアイを目指しなさい。このように人々のものを奪い取りなさい。」。
・第二十節
ミミが主の言葉を同胞に伝えると、皆が命じられたとおりにした。
・第二十一節
ミミの同胞たちが、すべて島から姿を消したので、人々は混乱し、前にも増して人々はそれぞれのモアイを崇めるようになった。
・第二十二節
信仰が激しくなったので冥界のモアイの重さは限界に達し、乱立したモアイのすべてが崩れ始めた。
・第二十三節
冥界の底、深淵の底蓋が開き、混沌は冥界のすべてを飲み込んだ。
・第二十四節
地上は冥界の現し世であった。人々の心は闇に閉ざされ、彼らの信仰は脆く崩れた。
・第二十五節
天界の蓋は生命の海となり、地上に降り注いだ。山々のその上まで、世界は水でおおわれ、箱モアイは水の上に浮かんだ。
・第二十六節
陸にいたすべてのものは死んだ。全てが地からぬぐい去られて、ただミミと、彼らと共に箱モアイにいたものと、戸を閉める直前にヌルリと入りこんだヌシだけが残った。
コメント
コメントにはログインが必要です