特集記事 オパール街と妖精さん
オパール街の開拓から1ヶ月半が経った。土地開発ができないことに加え、他の街への距離が極端に遠いこの街には、およそ80店舗が出店しており、多くのお手伝い妖精が活動している。そんな可愛らしい彼女たちが、新しい街で様々な悲鳴を上げている。
真っ白な妖精さん
「海を渡るのはもうかなんわ。」初めにインタビューした妖精さんは叫びながら答えた。彼女は普段は輸送妖精として、本島とオパール街の間を休みなく往復している。道中にある海を渡るのにかかる時間は5時間。オパール街に移住する前は仕入先まで1時間だったのが、今では半日近くかかる。
「仕入れは1日1回やから、1日24時間労働。店主に文句を言う時間さえあらへん。」
そう言いながらも岬に向かってまっすぐ歩く妖精さんの姿は、海水の塩で真っ白になっていた。
「この塩を売ったらめっちゃ儲かんのにね。うちの店主、アホやから。」そう言って妖精さんは、険しい表情の中に、皮肉めいた笑みを浮かべた。
大量の値札
次にインタビューした妖精さんは、店先で忙しそうに値札を交換していた。聞くと、販売価格の変更はその日5回目と言う。
「やはり販売実績が少ないと、しょうがないですよね…」店主にとって、新しい街での値付けはやはり難しく、売れ具合によって頻繁に売値を変更するそうだ。店の奥に入っていたゴミ箱には、要らなくなった値札が大量に捨てられて山積みになっていた。妖精さんは疲れ果てた顔で言う。
「オパール街に来てから、値札を書くためのペンが、もう3本も無くなってしまったのですよ…」
安定した土地での仕事
一方でその店の外では、別の妖精さんが活き活きと木の枝を拾っていた。
「よっしゃ!昨日よりも沢山集まった!」両手を上げて高らかに叫ぶ。彼女は作業妖精として、地図を用いた探索を専門に行っている。人口10万超えの大都市に住んでいたときに比べ、かなり仕事はやりやすいと言う。
「前の街では、森で作業している途中にいきなりそこが砂漠に変わったりとか、なんかハチャメチャやったんですよ。今は何も考えずに、のほほんと作業できる。」彼女たちにとって、土地開発ができない環境というのは恵まれたもののようである。
一方で、彼女はこうとも語った。
「でも、やっぱり島が違うと成果量も大分変わっちゃう。思いの外、成果が上がらなかった時に、店主さんが曇った表情を見せるのはつらいなー。」
遠隔化で負担軽減
別のお店の妖精さんにもお話を聞くことができた。彼女は倉庫妖精として、在庫管理を専門にしている。
「品目…減って良かったです…」彼女はインタビューに静かな声で答えた。聞けば、仕入れを簡単にすることができないこの島に移住してから、過剰在庫が抑えられるようになったという。また、セールがまだ開催されたことがないのも、負担軽減となった要因だそうだ。
他の妖精さんの仕事ぶりについて聞くと、彼女はまた静かな声で答えた。
「…かわいそう…」
いかがだっただろうか。オパール街に住んで、良かったという声も悪かったという声もあった。皆さんも、ぜひ一度、妖精さんの声にじっくりと耳を傾けて欲しい。そこには沢山の店舗経営のためのヒントが隠されているかもしれない。
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