細工師業界に一人の鍛冶職人が降り立った。
鍛冶職人の名は……、サトラッシュとしておこう。
サトラッシュは言った。
『難度が高いとされる指輪と首飾りをこの手で作り、今月の細工師ランキングで1位を取る』
2017年10月1日のことである。
・・・
サトラッシュはまず、情報を集めた。
細工師は口々にこう言う。 ”杖は儲かる” ”杖は儲かる”
つまりうかつに杖に手を出すと叩き潰される。
ここで大事なのは逆転の発想だ。杖以外に細工師ができる事を探すのだ。
ブローチ? 解体屋の魂? 陶芸? 違う、もっと単純に、もっと分かりやすいものを。
目についたのは "顔料" だった。
店を構えている店主は誰でも知っている。
原料であるがゆえに用途も多彩で、需要もある。
試しに色石を乳鉢で砕いてみる。
……なんということだ。恐ろしい数の顔料が手に入るではないか。
まずはここから始めよう。サトラッシュはそう決めた。
乳鉢がゴリリと鳴った。
・・・
数日が経過。
顔料を倉庫に蓄え、サトラッシュはこう叫んだ。
「色石ゴリラの圧倒的顔料!欲しい方はいませんか!!」
色石ゴリラ。架空の生命体だ。
色石を乳鉢でゴリゴリ砕くところから考えついた。
この時の一番の目的は名前を売ることだった。
サトラッシュは鍛冶職人のため。
転職をしたのであれば、今自分が何をしているのかを明確に伝える必要がある。
……作戦は想像以上に成功した。
販売に関しては、買い叩きには納品せずの対人の注文販売のみを中心に行なう様にし、
見かけ上の最安は一瞬も更新されないようにした。
一見した相場も変わらないため、注文相場も下がりにくい。満足の行く利益は確保できた。
また、名前を売ることにも成功した。
複数人がサトラッシュを色石ゴリラと呼んだのだ。
その後、サトラッシュは原料という観点から、顔料に加え、ビンの作成/注文対応も行ない、
細工師としての腕を磨いていった。
そんな時、サトラッシュの住む街から 『杖がほしい』 という声が聞こえてきた。
それはサトラッシュが筆頭細工師の称号を得た日のことであった。
内なる野生が目覚める。
・・・
色石ゴリラはその話を聞きつけ、杖の作成に取り掛かった。
色石ゴリラは運が良かった。ちょうどこの頃、作るのに必要な魔石の値段が落ちてきていたのだ。
目をつけたのは
求められていた"鉄"
取引単価の高い"ミスリル"
そして、鍛冶職人の頃に残しておいたインゴットで作れる"ブラッディウム"だった。
※結論を言うと筆頭でブラッディウムロッドを作るのは止めておいたほうがいい。ゴリラ嘘つかない
鉄の杖は値段変動が激しく、売り時が難しかった。
ゴリラは価格競争を嫌った。
作成数量は次第と同じ街の必要な方の注文対応分のみとなった。
ミスリルの杖は棚置きと錬金術の作業用途があるため、とてもよく売れた。
ミスリルの杖は主力商材となりうるポテンシャルを秘めていることは確定的に明らかだった。
しかし、ミスリルの杖は前述の通り、下手に市場介入すると先輩細工師に潰される。
そこでゴリラは市場価格を落とさないように販売する方法を考えた。
取った策は「値段を開示しない棚置きをする事」だった。
色石ゴリラは商談板に朝の7時に「店頭にミスリルの杖が安く置いてあります」と書いた。
このゲームのプレイヤーは大抵朝一にゲームを起動し、販売棚や輸送枠を確認すると考えた。
勿論よく売れた。
この販売方法の利点は、後続の購入側/販売側が "値段が分からない" というところにある。
つまり、
・セール価格を見て買い叩こうにも、決まっていないためその値段が分からない。
・売る側も、朝一の客足が鈍るが、対抗馬の金額が分かりにくい。
となる。(なっていなかったかもしれない。真相は大自然の中である)
こうして毎朝に杖を売るというスタイルを確保し、
倉庫との折り合いをつけつつ、細工の腕を磨き、
色石ゴリラは信頼のゴリラとなったのである。
10月中旬のことだ。
・・・
唐突だがここで物語は終わる。
理由は単純だ。ランキング調整、指輪と首飾りの製作、ハロウィンイベント、と
書き始めるとここからがもっと長いからだ。ゴリラの行末は読者の想像で補完いただきたい。
・・・
結論を伝えると色石ゴリラは目的を果たして、どこかへ去っていったという。
闇夜から彗星のごとく現れ、ランキングや市場を "荒らすもの" を後に
ゴ リ ラ
と呼ぶようになったらしい。
<備考>
一応、自分のSO2プレイレポを小説風?にしたものになります。
本文では登場する鍛冶職人のことをゴリラと呼んでいますが、
ゴリラと呼ばれることを悪口であると捉える方もいらっしゃいます。
(なによりゴリラに失礼です)
快くゴリラと呼ぶことを許可してくれる人にのみ、親しみを込めて呼ぶようにしましょう。
色石ゴリラとの約束です。
※怒られたら消します。
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