のんびりかあちゃん屋
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はじめてのSOLDOUT2
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似て非なる世界

子育ては、孤独だ。

一旦子供が生まれると、子供を通した後ろ側に「私」がいる。
母親は子供を第一に思い、家事をこなし、ときに働き、子供を育てなければならない。

仕事をすれば母親ではなくひとりの社会人になれるけども、それでも風邪や怪我で病院に東奔西走し、子供の事情に振り回されることは間違いない。

私は、子供が生まれてすぐからがむしゃらに働いてきた。夫は朝早くから夜遅くまで働き、休日に突然アポが入ることもしばしばあった。いわゆる「孤育て」や「ワンオペ育児」と呼ばれるものになるのだろう。
仕事も思うようにいかず、産後ひとりで出歩くことも月に1回あるかないか程度になった。それでも、子供は大きくなっていく。どんどん育ち、毎日めまぐるしく泣いたり笑ったり。
母親の都合なんて知ったものじゃない。

結局、持病をこじらせてしまい1歳前に退職、その後入院してしまったのだが、入院中は楽しくて仕方がなかった。ひとりで長期間過ごしたのは久しぶりだったから。
その入院中に出会ったのが「SOLD OUT 2」だった。

退院後、新しい治療薬を始め外出が難しくなった私にとって、仮想世界の商売は楽しくて仕方なかった。

家事や育児の片手間でできて、ゲーム内で情報共有ができる。
良い人もいれば悪い人もいる、全く考えずにゆるくやる人もいれば緻密なポイント計算によりランキングを狙う人もいる。

それぞれの思惑が蠢く世界が、楽しくて。
子供を介さず個として存在できる世界は、めったにない。

いつかは終わるけど先が長い育児、終わりの見えない治療。そこにゲームというスパイスが入ると、人生はとんでもなく楽しくなる。

少し前に、「夜泣き部屋」というマンガがネットで話題になった。
子供が夜泣きしたら大部屋に移動し、同じく夜泣き対応に追われる他の母親と会話しながら夜泣きをやり過ごし、寝るときは静かな個室に移動して寝る。
また夜泣きが始めれば、起きて「まただねー」「おかえりー、うちも起きちゃって」と言い合いながら集まる。

新生児期にはみんな夜遅くまでTwitterでお互いを慰め合ったものだ、と懐かしく思う。
子供はもうすぐ1歳半。同じ産期だったユーザーの深夜帯出没は減ったけれど、きっと今日もどこかでそんな「夜泣き部屋」が存在する。

街内掲示板や酒場、Twitterなどで、しばしば似た光景が見られる。
寝られないユーザーが集まり会話を続けながら、眠気が訪れるのを待つ。出社時間を待つ人もいる。外出までの時間潰しに使う人もいる。


孤独だけれど、ひとりじゃない。


仮想世界に生きる「私」は、MUTOYS島の朝焼けをどこか懐かしい気持ちで見ていた。

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