どっかの世界のどこかの海に存在するというMUTOYS島。そこは人間と妖精、そしてミミ星人というよく分からない生き物が仲良く共存する場所であった!
これは、ふとした切欠からこの島に住み着いたパッとしない人間店主【傾月】と、計らずも彼のお手伝いをすることになった作業妖精【メメラ】の、特にオチのない物語である…!
「ご主人、ごしゅじ~ん。」
「…」
「ねえ、旦那様ー。」
「……」
(すぅううっーー)
「ごぉーしゅーじんってばぁーーー!!」
「うぉあぁっ!?」
男はすっとんきょうな声をあげた。彼の持ったペンはあらぬ方向へ航跡を残し、秩序を形作りつつあった紙の上に乱れを産み出す。
「作業終わった!23マント、25マント、19マント、21マント、21マント!」
「はい、お疲れさん…倉庫に運んどいて。」
「もとの分と合わせて122マント。少し溢れる。」
「じゃ100枚保管庫へ。セール用にする。それから夜の班にいつもの肉と革頼んどいて。」
「はーい。」
男の半分も背丈がない、羽の生えた女の子のように見える妖精は、店主に報告をすることが大好きである。
「…メメラ。」
「なに。」
「もう少し、静かに呼べんのかい。もう少し。」
傾月は参った、という顔をした。さっきのようなうるさい呼び方が、今日だけの事ではないということを暗に示す。
「呼んだし。反応してなかったし。…プン。」
「分かったわーった。次からもっと気づきやすいやり方にしてくれたら嬉しいな~、っと。」
「…そうする。」
「はいよ、お願いね。」
そう言うが早いが、傾月はメメラの頭をポンポンと叩く。
「なんとかしとく。」
「ああ。」
妖精が作業場の扉をくぐるのを見届けた男は、また筆算に戻るのであった。
翌日…
「ご主人、ごしゅじ~ん。」
「…」
(ふふん、今日はヒミツヘーキをもってきたのだ!さあ行くのです!)
…
「ミミミミミミミッ!ミミミミミミミッ!」
「!!!?」
男はまた昨日のように飛び上がり、そしてまた、昨日のようにペンが暴れる。
「ミミ星人…」
「何とかしろと言ったので、呼び方変えました!」
「ああ」
「気づきやすい方法にしました!」
「…ああ。」
男は負けた!という渋い表情をした。そして、妖精の頭を撫で、ミミを指先でつついた。
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