おじさんは「店持ち」の妖精から伝えられた焦土の中のベースキャンプに向かって歩いていた。
このおじさんは雇われた傭兵だ。
「店持ち」・・・勇者業を営むオーナーは勇者妖精にモンスターを討伐させることもあるが、最近は傭兵を雇うオーナーも多い。
おじさんは、その「店持ち」からの募集に参加するのを主にする傭兵だ。
暑さでしんどくなってきたな、というところで「店持ち」から派遣された妖精の甲高い声が聞こえてきた。
「オークとうばつにさんかするみなさ~ん!ベースキャンプはこちらで~す!」
フラフラになりながら、やっとこ涼しいベースキャンプにたどり着いた。
「オークとうばつはよるおこないます!いまはえいきをやしなってくださ~い!」
甲高い声に少し不快になりながら、おじさんは支給された燻製肉にガブリ、と食らいついた。
燻製肉を食べていると、頭巾を被ったおじさんが話しかけてきた。
「…おぬしはどこから来たので?」
「…アダマンチウムだ」
「ほう、この島生まれでござるか… 拙者はイェイヒメ地方から来た者。とんと故郷には帰っておらぬ」
「帰ればいいじゃないか」
「むりでござる。拙者は故郷を捨てた身。出来る事と言えば」
「物の怪を斬るぐらいのこと」
と、頭巾を被ったおじさんはつぶやいた。
「じゃあ頼りになりそうだな そろそろだ」
と言い、おじさんが立ち上がると、
「みなさ~ん!オークのしゅうらくへといどうをかいししま~す!たいまつのしようはおひかえくださ~い!」
と妖精の声が聞こえてくる。
「・・・おぬしは、この稼業は長いので?」
「そこそこだ」
「頼りにさせてもらえそうでござるな」
「好きにしろ」
おじさんたちは残った燻製肉を口に放り込み、オークの集落へと向かった。
オークの集落も眼前、というところで妖精が声を張り上げ、
「それではようどうぶたいとほんたいにわけさせていただきま~す!」
「こんかいのしゅうらくはきぼがおおきいため、ごきょうりょくをおねがいしま~す!」
と叫んだ。
傭兵たちからブーイングが上がる。
陽動部隊はいわば囮。軍隊ならまだしも、傭兵の寄せ集め部隊ではたまったもんじゃない。
「クレームはオーナーにおねがいしま~す!」
「それではここまでのかた、ようどうぶたいです!ようどうぶたいはしゅうらくのうえにみえるがけにたいきしてくださ~い!」
と、列を切り分けあっさりとおじさんも陽動部隊にされてしまった。
「ん、おぬしも陽動部隊でござるか?」
とさっきの頭巾のおじさんが話しかけてきた。
「アンタもか」
「なかなか難しそうな仕事でござるな」
「ああ」
「御武運を」
「そっちもな」
頭巾のおじさんはニコ、と微笑み足早に崖を登っていく。
陽動部隊の役割はこうだ。
まず、陽動部隊と本隊に別れオークの集落を挟む。
陽動部隊は崖の上から、本隊は木々に隠れ待機。
陽動部隊は機を見計らって崖の上から奇襲をかけ、混乱したところに本隊が攻撃。
しかし、言うは易く行うは難し。
陽動部隊がしくじれば負けるはないにせよ、大きな犠牲が出る。
少ないチャンスをモノにしなければそうなることは簡単に予想できた。
おじさんたちはオークたちの隙をじっと待っていた。
オークが魂の水で宴会を行っていたのは嬉しい誤算だった。
息を潜め、集落を見下ろせる崖から陽動部隊はじっと機会を待つ。
宴会に興じたオークたち、それだけでも格好の的と言っていいが、特に魂の水を喰らったオークは特に判断力が鈍くなる。
いくら「店持ち」に雇われた傭兵どもでも、それくらいの心構えはあった。
オークに魂の水が行き渡り、それを飲み干した時…
それが奴らの最期の晩餐になる。
本隊から突撃せよと催促が来た頃、見張りが引っ張られて集落の奥に消えた。
「チャンスか?」「いや待て慌てるな」
と誰かがつぶやく声が聞こえる。
「行き時だ!」と誰かが叫ぶと、おじさんと頭巾のおじさんは崖を滑り降りた。
それに続き、陽動部隊たちは崖を滑り降りていく。
混乱しているオークの見張りを叩き斬り、怯えるオークを前におじさんはつぶやいた。
「少しは骨があるといいがな」
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よくわかんないものができました
妖精さんを戦わせるなんてかわいそうだよ
拙い文章をお許しください。
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