299@にくきゅう
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創作のお話。

こんにちは、299です。

今回はSO2の創作ショートストーリーなので、二次創作が苦手、ゲームをプレイする上で全く利になることがない、となっております。苦手な方は画面を閉じていただければ幸いです。
それでもよい!という方はおすすみください🐾🐾

空飛ぶヒトデと白いトゲ(Ⅰ)

 この時期、MUIS島ではとても強い風が吹く。いわゆる季節風というものだ。数日間続くその強い風の季節は、晴れていることが多いが強風のせいで洗濯物が隣町まで飛ばされていったなどという話がよくあるため、ほんの少しだけ注意が必要だった。
 ではこの強風の中、お手伝い妖精さんは大変なのではないか?という疑問が浮かぶ人もいるではないだろうか。だがそこは問題ない。妖精さんは、仕事を手伝うことに関しては物理法則を無視するのだ。なので向かい風でもいつも通りの速さで飛ぶことが出来るし、強風に煽られて荷物を落としたりすることもないのである。

 そんなNUIS島のメリー街の片隅に小さな店を構えるぽねっさという商人がいた。何の因果か、この島に降りたったとき、ぽねっさは5歳のトゲへと姿を変えていた。ちなみに身長は抹茶ポ●キー5本分で体重は抹茶ポッ●ー3本分である。一体どこのキ●ィちゃんだとつっこむ人間はここにはいなかった。

 その日、ぽねっさは貧血だった。
 理由はわかっている、前日に鼻血を出したのだ。本人がこれは必要な儀式だったなどと供述しているため納得の上の流血という、人が聞いたら意味が分からないと首をかしげる状態であるものの、本人が納得しているのならよいだろう。
 ただ、貧血だけではなく、やや疲れてもいた。推しの供給という特殊イベントがあったため、叫び、転がり、荒ぶる気持ちを抑え込むことに必死で、ようするに寝不足というやつである。
「さて、今日はなにするかなー」
 昨日までは勇者をしていた。が、勇者はちょっと疲れる。集めるものが多すぎるとか、倉庫がいっぱいになるとか、装備を身に着けるのが時間がかかるとか、様々な理由があるが、なんにせよ勇者はちょっと疲れる職業なのだ。
「今日は久々にのんびり釣りでもしますかね」
 そもそもぽねっさの肩書は漁師。魚釣りは手慣れたものだった。お手伝い妖精さんもそれはいいとばかりに釣り具を用意してくれる。

「んー、じゃぁまぁ、久しぶりにアジトとかいっちゃお!」

 メリー街にも水場はあるけれども、どうせならゆっくりバカンスのようなことをたまにはしようと、乗合牛車に勢いで飛び乗る。野太いミノさんの声と、牛車に時折大きく揺らされながらアジト跡地へと向かった。

アジトは湾を囲むような形の土地だ。そして海のすぐ近くにもかかわらず淡水湖もある。牛車はとても早く、まだまだ昼前という時間帯に着いてしまった。
 「ポニェッシャシャアン!オヒサシブリュイイイイイ!」
 いきなり淡水湖の中心から声がした。カラフルで、大量のヒトデたちがそこにいる。クリュクリュと鳴き声?をあげながらヒトデたちをかき分け、一匹、いや、一人のヒトデがどや顔で現れた。
 その名もヒトデマスター。店主である。
 正直なところヒトデマスター氏が生み出したヒトデたちとご本人は見分けがつかない。知る人によると、『ヒトデ氏は他のヒトデよりも眉毛が凛々しい』そうだが見分けられるようになるまでは時間がかかりそうである。
 そんなヒトデ氏とぽねっさは友達なので、ヒトデ氏は歓迎して湖の真ん中から、大きく湖畔のぽねっさの元へと飛び上がった。

 刹那、強い風が吹いた。

 飛び上がっていたヒトデ氏は体が小さく、軽いため、風に煽られてしまう。いけないとおもい、ぽねっさも手を伸ばして、飛び上がってしまった。

「ひとでさんっ…!」
「ポニェッシャシャン!!!」」

 奇しくも空中で抱擁を交わす図が出来上がってしまったが、運命とは非情なものである。
 さらに追い風が吹き、二人はさらに高くアジト跡地の青空へと舞い上がってしまった。
 手裏剣を思わせるような風にのりやすいヒトデ氏のフォルムと、ポ●キー3本分の重さしかない円錐形は、今、わけのわからないコラボレーション力を発揮した。

「ひょ、ひょえええええ!?」
「クリュクリュクリュ~!?」

 ぽねっさのお手伝い妖精は、一連の流れがすぐには理解できなかった。だが、クリュクリュとヒトデ達の不安そうな声で我に返る。ヒトデ氏のお手伝い妖精は、これまた淡水ヒトデ達と紛れると見分けがつかないが、進化を遂げた妖精だ。だが特殊進化した故、空は飛べなくなってしまっていた。こと水の中では優秀なのだが出来ないことを嘆いても仕方あるまい。
『私がうちの店主もヒトデさんもちゃんも探してくるから安心してください!!』
 そう言って、お手伝い妖精は二人の店主が飛んでいった方へと羽ばたいた。

 弧を描いて落ちてゆく先には、ぱぷりんの姿が見える。アジト跡地の有名人、麗しの魔王ヒルデさんのお店だと理解したぽねっさは大きな声で叫んだ。
「ぱぷり~ん!たすけて~!!」

 ヒルデ氏の屋根の上に鎮座するぱぷりん。彼女はぽねっさとヒトデ氏を見るとたしかに頷いたような、そう見えたのだった。
 しかし、ぱぷりんは手と手を体の前で組む。えっ?と思ったときには再びぽねっさとヒトデ氏は空に舞い上がっていた。

 ーーー何を思ったのか、ぱぷりんがぽねっさとヒトデ氏にしたことは、二人をボールをトスするかのように打ち上げたことだった。

 ただぱぷりんは非力だったのですぐに二人は回転しながら近くの屋根の上に飾られていた桃色の木にひっかかった。

「…びっくりしましたなぁ」
「ビッグリジダアアアア」

 とりあえず木の上にいるのは、地上と水中に生きるものとしても落ち着かないので、二人は体を捻りつつ木の上から屋根にまずは降りようとした。しかし定期的に強風が木を、二人を揺らため上手くいかない。

「あのー 大丈夫ですかぁー?」

 足元から声がした。赤いとんがり帽子をかぶった、見た目は小さな少女だ。風に飛ばされぬよう帽子の端をぎゅっと握り込む手も小さくてかわいらしい。

「チュルルシャァァン!ダズゲデエエエ!」

 ヒトデ氏は叫んだ。アジト跡地に身を寄せ合う店主達は非常に仲がよい。

「えっ!?その声はヒトデさん!?えっえっ、いや、ちょっと、待っててくださいっ」

 つるる氏は作家なので、屋根に登れそうなものは持っていない。なのであわてて近隣の店舗に梯子や丸太のような、屋根に登る、もしくは降りる足場になるようなものを探しに行った。親切な店主である。
 なお、混乱したのは声でヒトデ氏と理解したものの、塗れていたため桃色の花びらが大量にくっつき謎の桃色の塊になっていた物体がいきなり声を発したからである。

 
 これでなんとかなりそうだと気がぬけたヒトデ氏が、残念なことに桃色の木の枝から落ちそうになった。それに気付いたぽねっさは慌ててヒトデ氏を掴む。そしてもう片方の手は桃色の木の枝を掴み。
 
 再び強風は吹いた。
 バキッと鈍い音と共に。
 二人は空に舞い上がった。

 ぽねっさのお手伝い妖精は、ようやく店主たちに追い付いたと思ったら、視界に映る二人は再び空高く飛んでいっていた。これは夢なのではーーーと思いたかったが、そうはいかない。見てしまった。折れた桃色の木の枝を。けっこう大きい枝だったため、折れた場所は妙に目立つ。
(しかもその枝っ…!持ってるのどうみてもうちの店主…!見間違えることのない円錐形っ…!)
 お手伝い妖精が背中に気配を感じ振り向けば、後ろには、多分この桃色の木を屋根に飾っている店主と思われる少女。汗だくになりながら丸太を抱えているのは、きっとあの枝にひっかかっていた二人を助けるためだろうと推測しながらお手伝い妖精は身だしなみを整え、小さく咳をして小さな赤いとんがり帽子の少女に声をかける。

『はじめまして!私さっきまでここにひっかかっていたとげのお手伝い妖精です。
損傷させてしまった桃色の木の損害賠償についてお話しさせてください!!!本当にごめんなさいごめんなさい多分悪気はなかったんです!でもちょっと物事を深くかんがえないだけなんですぅぅ!』

 さて、それにしても二人はどこまでとばされていったのか。
 お手伝い妖精の苦難はまだ続きそうである。

そしてお話もまだつづくよ!
 

●お手伝い妖精の走り書き●

作家、つるるさんの屋根に飾ってある桃色の木の損害賠償について話していたら、なんとかの有名な魔王ヒルデさんが現れた!きれい!かわいい!
ヒルデさんが言うには、ヒルデさんのお家のぱぷりんがうちの店主とヒトデさんをつるるさんの屋根に投げた?みたい?(ぱぷりんって動くの?)
よくわからないけど、うちのぱぷりんのせいだからって、つるるさんの桃色の木の賠償はかわりに支払ってくれるそうだ。
女神様はここにいた!!ところでルビー街の方にうちの店主がとばされていったみたいだけど本当どこいったんだろ…。

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