「ううむ、本作家はもっと儲ける意志を持つべきだろうに……。」
このところ、いや、だいぶ前から本は儲けが薄い。絵本なんてきちんと作れても赤字の時期があったくらいだ。私が安い価格帯の本を買い占めて吊り上げたものの、どうしても元に戻ってしまう。
「錬金術は最近やってないが……、まあマシにはなったようだし良かった。……いや良くない、ポーションやエーテルは作りやすいからやる人も多くて、結局供給過多気味になって安売りが増えてしまう……!錬金術師ももっと儲ける気概を持て!」
前に儲かると噂の杖細工師もやってみたが、本作家から鞍替えしたくなる時給だった。作家も錬金術師もそのくらい儲けようとすればいいのに。
ただ、私は本の市場が枯れる様を何回も見てきた。それでは本が欲しい人が困り、本を使うものの市場に悪影響が出てくる。出来れば、儲けるかつそれなりに供給がされる市場にしていきたい。それに、本を読んだり書くのは楽しい。つまりは愛着が湧いたのだ。
「しかし1人では現在があるな……。一応こっそり秘密結社を立てたとはいえ、史上操作は金持ちの道楽に近いものがあるからなかなか協力者が……。まあ、最近新しい入植者が増えたし、彼らに期待と啓蒙でもするか。」
寝起きのコーヒーを飲み終え、店の支度をする。妖精が色々とやってくれるといえど、多少なりとも自分で動かないとどうもしっくりこない。
ドラウズ書林、それはバトル街のどこかにあるお店。今日も店主の彼女は本に夢を見るのだ。
コメント
コメントにはログインが必要です