アンティークウオッチには、同じモノがひとつとして存在しないというオンリーワンの楽しさがある。
手作りゆえの技術的こだわりや工夫、そこに隠れているストーリーなど……。
その時代を反映した希少な逸品をお届けしよう。
今回はLowBEAT編集部が取材を行うなかで見つけた、歴史的にも希少な名機をご紹介する。
今回紹介するのは1952年頃に製造されたロンジンのパイロットウオッチ、通称”ビッグインディアン”だ。
1950年代初頭、イギリス連邦軍であるインド空軍は高性能のパイロット用ウォッチを調達していたとされる。今回紹介する個体は、その中の1本であったのではないかと推察されるものだ。
https://soldout2.secretary.tokyo/@6bd7c2987a52cf1
イギリス軍用時計を代表するIWCやジャガー・ルクルトの”マーク11”。その初期モデルの文字盤に見られるような、12時位置のインデックスにホワイトのアラビア数字を配したデザインに加え、24時間表示を併記している点が特徴的だ。44mm径という、当時としても大型のステンレススチール製ケースを採用しており、パイロットウオッチとして視認性を最大限まで高めようとしていたことがうかがえる。ベルト取り付け部も嵌め殺し式の太いバーを採用しており、軍用時計らしい重厚な作り込みとなっている。
ケースや文字盤などはイギリス空軍に支給されていた同社のマーク11と酷似している。実際、裏ブタの内面に刻印されたリファレンスナンバーを確認するとイギリス空軍支給の“マーク11”のRef.6111-1と同じリファレンスナンバーで、本個体はその後期タイプにあたるRef.6111-2と同じものになっている。
両者は外観やスペックこそ似ているものの、中身は大きく異なる。Ref.6111-1がCal.15.68Nを搭載しコブラ針を採用しているのに対し、本個体では同様にハック(秒針規制)機能を備えた専用ムーヴメントCal.14.68Nを搭載。時分針も、よりシャープな印象のペンシル針が採用されている。とは言え、どちらに搭載されていたムーヴメントも希少な専用品であったようだ。
裏ブタに注目すると、ブロードアローと3桁のシリアル番号“265”が刻印されている。先頭の“2”はRef.6111-2の末尾の数字を示し、後ろ2桁はその中でも65番目に製造された個体であることを表すとされる。一方、イギリス空軍のRef.6111-1では“1”から始まる3桁の番号が用いられている。また、Ref.6111-1に見られる支給コードが刻印されていない点も本モデルの特徴だ。加えて、ラグ部分にも“65”の刻印があり、裏ブタの製造番号と一致している。
アーカイブ取得時にロンジンから得た情報によれば、製造数はわずか71個で、そのすべてがインド空軍に納入されたと記録されている。なお、イギリス軍に納入されたRef.6111-1も製造数は少なく、わずか72個とされている。
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