回路 8ビットクラフト #7338
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創作系
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きえたともだち

最近あったことなんだけどさ、あんまりこの島来てない時期があってね。
ひと月前ぐらいからまたこっち戻ってきて店の手入れとかで忙しい時期があったんだよ。
で、一息ついて落ち着いた頃にうちの妖精が言ってきたんだよ。
「友達に会ってきたい」って。お客さんもいないし良いよって言ったら物凄い勢いで店飛び出して行っちゃってさ。
なんせ長いこと時々こっち来て作業出したりしただけだからね、久しぶりに会えるのがよっぽど嬉しかったんだろうさ。

で、こっからが本題だ。しばらくして友達に一通り会ってきたけど、まだ会ってないのが一人いるらしくてね。
まあ便宜上「あの子」って呼ばせてもらう。あの子はうちの子の一番とも言える親友なんだ。
自分もうちの店員もあの子とは仲良し。そんないい子なんだけど何故か島に来てから一回も会ってないらしいんだよ。
で、お気に入りの絵本持って張り切って探しに行っちまってね。
自分もなんで会ってないのか不思議だったけど、まあ事情があるんだろうなって適当に考えてたんだよ、そん時は。

夕暮れ時、うちの子が帰ってきたと思ったら凄い泣きじゃくってこっちに来て「あの子が!あの子が!」って必死に叫んでて。
何があったか聞いたら、公園で座って休憩してたらあの子が公園の入り口にいるのを見つけたらしくてね。
嬉しかったしなんで会わなかったか聞こうとしたんだろうね。走って行ったみたい。
「久しぶり!」「ずっと会わなかったけど何かあったの?」あの子は悲しい顔をするだけで何も言ってくれない。
「ねえ何があったの?」「また一緒に遊ぼうよ!」どんなに話しても何も返してくれない。
そうやってるうちにあの子の体に違和感があることに気づいたらしい。

あの子には 足が無かったんだ

あの子がそれに気が付いたことを察するとこう言ったらしい。
「私はこの島に居られない」
     「もうすぐ消えてしまうの」

「なんで!もっと一緒に遊びたい!」「きっと消えない方法もあるよ!」

「ごめんね。でももうダメなの」
    「きっと貴方のお店の店主さんが」
       「また会わせて…

それから全力で走って店に戻って来たらしい。
さっさと店じまいして店員も呼んで町中探しまわったよ。だけど姿どころか情報一つ出て来やしない。
もう夜になって諦めようかと思ったところで最後、あの子に初めて会った場所に行ったんだ。
森の奥の池、夜になったら暗くて危ないからと唯一探してない場所だった。
池に着き、よくうちの子が本を読んでいる場所に連れて行ってもらった。
そこに一枚のメモとあの子が持っていたブックマーカーがあった。あの子の持っていた緑色の魔法の栞だ。
メモにはこう書いてあった。

「この世界には私はいらない
    だけど貴方は私が必要
      だったらきっとまた会える
          貴方達が探してくれる」

これで話は終わりだ。この後こいつを見つけた奴の店に連絡取ろうとしたんだがな…
閉店してたよ。この話の三日ぐらい前に。
こんな話信じてくれないかもしれないし、そもそもあいつのイタズラかも分からない。
だけどな、この話は本当だ。あいつはこんなイタズラしないし、あの栞は確実に「あの子」のだ。

…だけどな、一つだけ信じてない事がある。「あの子」は消えてなんかいない。
こんな質の悪いイタズラする奴じゃないと思ってたけどな。
そのうちひょっこり出てきてイタズラ大成功みたいに言ってくるだろうよ。
その前に見つけ出して二度とこんなことしないように徹底的に説教してやるよ。

…早く見つけられりゃ良いなあ… 「あの子」…

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