0. 長い、三行で
①住民には記載されていない第三の関心が存在する
②住民は「関心」の強い商品ほど、価値に敏感に反応する可能性が示唆された
③食物は全ての住民が「第二関心」以下であるため、競合が起こりにくい可能性がある
<目次>
1. 目的
2. 定義
3. 実験手法
4. 実験結果
4.1. 結果概要
4.2. 住民別売上の結果
5. 考察
6. 統計的な話(統計強者求む!!)
1. 目的
初めましての方は初めまして。そうでない方はお久しぶりです。耐火煉瓦工務店#65122と申します。
さて、皆様は「住民の関心」とは何かご存知でしょうか。関心とは住民情報から見ることができる「住民が買いやすいアイテム」のことであり、公式ヘルプでは以下のように定義されています。
関心とは?
その住民が主にどういった商品に興味があるのかを表します。その需要を満たしてあげられれば住民の生活は向上するでしょう。ふらっと立ち寄った人が街に住み着いてくれることも増えるかもしれません。
(公式ヘルプ 街の住民 関心とは? より引用)
関心がない商品には見向きもしない?
そんなことはありません。あまりにも安かったり珍しいものは衝動買いするかもしれません。時にはお財布の紐が緩むことだってあるでしょう。もっとも、どんなに安くても要らないものは買わないかもしれませんが。
(公式ヘルプ 街の住民 関心がない商品には見向きもしない?より引用)
例を挙げると、盾カテゴリーの商品に関心を持つのは「おじさん」「おにいさん」ですので、この人達は他の住人よりも盾を買いやすい傾向があります。この辺りは皆様も感覚的に理解できるのではないでしょうか。
この関心についての調査は千春氏による「住民の”関心”は機能しているのだろうか?*1」等がありますが、残念ながら具体的な調査はあまり進んでいるとは言えません。
本稿では、ひたすら革の盾と木の盾を売ることで住民の関心を分析したものです。この調査を通して、住民の関心がどのように機能しているのか明らかにすることを目的とします。
2. 定義
実験を始める前に、いくつかの用語を定義させて頂きます。
「第一関心」…住民の関心のうち、一番左に記載されているカテゴリーとします。おじさんの第一関心は盾ですし、おぼっちゃんの第一関心は生物です。ここでは買い付け人、旅人の関心は無視するものとします。
「第二関心」…住民の関心のうち、二番目に記載されているカテゴリーとします。おじさんであれば道具、おぼっちゃんであれば剣です。
「第三関心」…第一関心・第二関心に記載されておらず、その上で比較的購入頻度が高いカテゴリーとします。詳細は後述します。
3. 実験手法
今回の実験は2021/3/29 19:00~3/30 19:00と、3/30 19:03~3/31 19:03の二日間、バトル街にて行われました。
一日目はの順番で商品を設置し、二日目は認知度の影響を排すために一度棚を全て削除してからと逆順に設置しました。また、全ての商品は3000Gとし、単価による来店数の影響を排しました。
実際の棚の様子はこちらです。
今回実験した場所は画像にあるバトル街の(21,30)になります。自店舗を中心とした7×7の範囲に他店舗が入らないようにして、他棚競合の影響を排しています。詳細な競合範囲については先行研究である歯車氏の記事「住民売り(NPC売り)についての仮説⑧(販売競合範囲たぶん確定編)」*2をご覧ください。
4. 実験結果
注意!
今回の結果は2日間のみの調査になります。そのため、特に住民別の選択個数に関してはサンプルが不足するため、結果が真の値から外れている可能性があります。この結果が全てではないことにご注意ください。
4.1. 結果概要
<1日目>
<2日目>
上の画像は実験終了後の棚の様子になります。多少数値にブレがありますが、当初の予想通り木の盾の方がよく売れました。
今回の調査では、2日間で計274人、平均して1時間あたり5.71人の住人が来店し、205人が木の盾を、69人が革の盾を選択しました。その結果、木の盾が革の盾と比べて約2.97倍選択されました。
また、この結果からは両者のまとめ売りの個数に有意差は見られませんでした(6.1参照)。この結果は歯車氏の複数買いについて③*3を補強する形になります。
4.2. 住民別売上の結果
続いて、お客様の声を住民別に集計し、どの住民がどの商品を購入したか分類しました。
その結果、盾が第一関心である「おじさん」は全ての選択で木の盾を選択し、第二関心である「おにいさん」は86.5%の確率で木の盾を、13.5%の確率で革の盾を選択しました。
一方、他の住人に関しては「おねえさん」「おばさん」「おじいさん」「おばあさん」が、「おぼっちゃん」「おじょうちゃん」「しょうねん」「しょうじょ」と比較して高い頻度で来店することが判明しました。また、この時の木の盾選択率は最大の「おねえさん」で77.3%、最小の「おばあさん」で52.6%と、第二関心である「おにいさん」と比較して低いことが明らかとなりました。
5. 考察
以上の結果から、少なくとも盾に関しては住民の種類によって来店率・商品選択確率が大きく異なることが判明しました。特に「おぼっちゃん」「おじょうちゃん」「しょうねん」「しょうじょ」に関しては驚くほど来店しなかった一方で、「おねえさん」「おばさん」「おじいさん」「おばあさん」は盾一色の店舗でもほどほどに来店することが明らかとなりました。
よって、第一関心・第二関心ほどではないが特異的に興味を示し、来店頻度が高くなる「第三関心」が存在することが今回の調査で示唆されたと言えます。
(第一関心・第二関心・第三関心の商品が棚にあった場合、どのような競合が発生するのかは今後の研究課題としていきます。)
また、今回の調査では「おじさん」が革の盾に見向きもしなかった点や「おにいさん」が僅かに革の盾を購入した点、推定「第三関心」の住人がある程度革の盾を購入した点も非常に興味深い部分です。この研究結果から、競合のメカニズムに対して以下の仮説が浮かび上がります。
+
ある商品に対して
第一関心の住民…常に(または非常に高い確率で)価値の高い商品を選択(**競合に強く反応**)
第二関心の住民…高確率で価値の高い商品を選択(**競合にある程度反応**)
第三関心の住民…価値の高い商品と低い商品を比較的満遍なく選択(**競合に弱く反応**)
関心なしの住民…ほとんど選択しない(競合への反応は不明、または誤差の範囲)
この仮説を立証するためには更なる調査が待たれますが、本稿ではこれを「盾のみを売った時におじさんが買った商品から推測した仮説」、略して「盾おじ仮説」と称することにします。
これが言いたかっただけなのは、ここだけの秘密です。
また、食物カテゴリーは全ての住民が購入することが分かっていますが、関心としては特に設定されていません。従って、この「盾おじ仮説」が食物にも当てはまる場合、住民は第三関心である食物に対して、あまり競合を考えず購入する可能性が考えられます。一般に「食物は競合の影響をあまり受けないのでは?」と言われることが多いですが、「盾おじ仮説」の一つとして検証する価値はあるかもしれません。
6. 統計的な話(統計強者求む!!)
今回は正規分布も等分散も期待できない時に「独立した2群のデータに有意差があるかどうかを検定する」マン・ホイットニーのU検定を用いた。df_wood
は二日間に渡る木の盾の購入数データ, df_leather
は革の盾の購入数データが入る。
- p値は0.5546 帰無仮説を棄却できないため、少なくとも有意に差があるとはいえない
- 内部価値によって"まとめ買い"の個数に差は出ない可能性が高い
wilcox.test(df_wood$個数,df_leather$個数)
Wilcoxon rank sum test with continuity correction
data: df_wood$個数 and df_leather$個数
W = 1613.5, p-value = 0.5546
alternative hypothesis: true location shift is not equal to 0
参考文献
*1 住民の”関心”は機能しているのだろうか?(千春, 2017/11/9)
*2 住民売り(NPC売り)についての仮説⑧(販売競合範囲たぶん確定編 (歯車木工店, 2020/12/5)
*3 複数買いについて③(歯車木工店, 2021/1/24)
*4 設定が同じで成果量が異なるレシピでの売れ行き比較 (歯車木工店, 2021/3/20)
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