砂丘パレス
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注文感謝イベ・ショート小説部門
創作系
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祖父が死んだ

祖父が死んだ。
祖父は一人暮らしで、それでも近所の人がたまに様子を見に行ったり家事を手伝いに行ったりしてくれたおかげで、独身でありながら孤独死にならずにすんだ。
発見されたのは死後2日後のことで、ご近所さんが様子を見に行ったら縁側に突っ伏して亡くなっていた。左手の傍には好物のみかんが転がっていたので最初窒息死を疑ったそうだが、心臓が弱っていた為遅かれ早かれ亡くなっていただろうということだった。
今月の仕送りが遅いとは思っていたが、まさか亡くなるとは思ってもいなかった。すぐご近所さんからの電話があって、まさかとも思っていなかったので、ビックリする間もなく、頭が真っ白になった。
時すでに遅し。資金口座は凍結され相続税が差し引かれると、遺産は1銭も残らなかった。
それでも村の人の協力で質素な葬式をあげることができた。
祖父の遺体は真珠島の岬で風葬されることになった。崖の影に安置された祖父の肌は白く透明感があり、まだ生きているような気がしてならない。
「おじいさんに何もしてやれなかった」
そう思うと情けなくて涙が止まらなくなった。
帰り道、砂州に生えたマングローブ林を抜ける道。日が差してきて、湿度の高い熱気と共に木漏れ日は、天使の階段になって林床を明るく照らした。
パール砂丘で村人と別れた後、私は4気筒エンジンを載せたスワンボートにまたがりパール街を後にした。

悪路を時速100㎞で飛ばしている道中、私は廃墟になったバス停で一人座っている妖精を見つけ、迷子になっているのだと思いスワンボートを停めた。
彼は「砂丘パレス」と名乗った。
迷子になっているのかと尋ねたが「そうではない」と答えるので、店主はいないのかと尋ねても良く分からなかった。もしかしたら気まぐれ妖精なのかもしれないとも思ったが彼には名前があったので、誰か店主がいるに違いなかった。誰がこんな変な名前を……
私は彼を雑のう袋に入れ、また地図を頼りにスワンボートを北に走らせた。私も祖父が所持していた宝地図の示す場所を目指しているだけで、特別彼を置いていく理由もなかったし、妖精が座っていたバス停も北方面で、道中で彼の店主が見つかるかもしれないと考えた。
しかしどの村を訪ねても彼の店主は見つからなかった。仕方ないので目的地のバトル街まで連れてゆくことにした。
暫く街も村もない道が続き、ついに目的地に到着した。
何があるのだろうとワクワクしていたがそこはバトル街の中心で、廃墟と化した店舗が1つあるだけであった。
私はつい呆然としてしまって、その夜は隣の店舗にお願いして泊めてもらうことになった。
そこで私は廃墟と化した店舗の話を聞くことができた。
その店の店主は経営が困難になって隣町に引っ越してから、それっきり。現在は高齢で生きているかも分からないという。そしてその店舗こそが「砂丘パレス」であった。道中で拾った妖精は「砂丘パレス」のお使い妖精だったのだ。でも彼がなぜ……

次の朝、私はお使い妖精を連れて祖父の住んでいたパール街へ一旦帰ることに決めた。
帰る前に私たちは廃墟になった「砂丘パレス」の中に入ってみることにした。宝地図に示されているわけだし何かあるかもしれないと思ったのだ。が、店内には古びた家具が放置してあるだけであった。そんな筈はないと隈なく探したらポストの中に注文詳細書が1枚入っていた。
**********
注文詳細書

砥石@1G
x1000
スピードポーション@1G
x10000
延滞金@1000G
x7300日

ご請求金額  
7311000G
      MUTOYS政府㊞
**********
店主はこのお使い妖精に注文を頼んだまま街を去った経緯があり、延滞金が大変なことになっていた。このことは隣の店主も知らなかったようで大変驚いていた。
「あー多分これね、お使い妖精さんが役所に申請すれば延滞金の7300000G貰えるよ」
『本当ですか!!』
なんといきなり、棚から大金餅である。私たちは急いでバトル街の支所に向かったが、バトル街の役所は機能していなかったので延滞金の受け取りはパール街に帰ってから手続きすることにした。

パール街に戻って手続きすると本当に730万G貰えてしまった。お使い妖精と私は、暫く役所の椅子に座って呆然としていた。それから長く黙っていたお使い妖精が
「私おじいさんの事何も知らない」
というので今日は二人で祖父のお別れ会を開くことになった。

【pm7:00】
家の縁側から続々と村人たちが上がってきて、こだわりのラム酒と七面鳥の丸焼きがテーブルに並んだ。好物だったみかんを仏前に備えれば「お別れセット」になった。
線香を供え、お使い妖精が数珠をジャっと鳴らすと、私は般若心経を唱え始め、オン・ヌシヌシ・ソワカと唱えれば会場は清浄な雰囲気に包まれた。
皆が合掌を終えると、村人たちによる飲み会が始まった。最初お使い妖精はお酌をしようとしていたが、おっさんたちが
「やらんでもええ、やらんでもええ。ゆっくりしなさい」
というと妖精は安心した顔で徳利をおいて、ツナポコを齧りはじめた。
「おじいさんってどんな人だったんですか」
「一緒に暮らしている時はお父さんのようなお母さんのようなそんな人だったよ。まあ、私はキャベツ畑から生まれたから両親というものがどういうものなのかよく知らないんだけどね」
祖父は木こりを営んでいて、わずかにできたお金を私の進学費用に充ててくれていた。私には両親がいないけれども、祖父はずっと親かそれ以上の存在だった。いつか恩返ししようと思っていたが、その「いつか」はついにこなかったのだと思うと、私はこれから誰の為に生きればよいのだろうか、恩に報いることができるのだろうか、なんて考えていたけれども、半分はただ目の前に横たわっている巨大な人生に初めて直面して困惑していただけなのかもしれない。それでも祖父が亡くなったことで人生というのは、私「だけ」で出来ているのではない、ということを知って、呆然と人生の色々について考えていた。
「そういえばよーおめーの爺さん、おらが死んだら魂の水を飲ませてくれなんて言ってたぜ。そういえばまだ飲ませてなかったなワハハ」
「飲ませるとどうなるんですか?」
「生き返るんだよ。まぁこの島に住んでいるヤツらはみんな欲がないからよぉ、カラスに突かれて、カラスの血肉と共に天上界に旅立つってのが最後の望みなのさ。爺さんはおめーの顔を見たかったんじゃねーの」
祖父に最後に会ったのは生誕祭のころで暫く会っていなかったので私もできることならバイトでも何でもすっぽかして会いに行きたかった。
「間に合わないかもしれないんですけど明日の朝、魂の水を届けに真珠島の岬に行ってきます」
「大丈夫だっぺか。ここは蒸し暑いからよどんな姿になってるか分からんぜ」
「いえ、大丈夫です。覚悟はしていますから。魂の水を骨にかけてあげるだけでもと思って。私おじいさんの願いを叶えてあげたいんです。手遅れだったとしても私が後悔するので」
「分かった。じゃあ気のすむようにやりなさい。長老には私から岬に入る許可を取っておくよ」
「ありがとうございます…!」

【pm11:30】
お使い妖精はもう飲み会をお開きにしたくてオロオロしていたのだが、彼女はそんな素振りに全く気付かないまま仲間と一緒になって飲み続けていたので、妖精は呆れて「見てられない」と暇つぶしにおじいさんの部屋に入った。
おじいさんの部屋は亡くなってからそのままになっていて、妖精は机の上にある日記帳を開いた。おじいさんは死ぬことも知らずにのんきなもので死ぬ前日まで
「みかんを縁側で食べていたら野良にゃんこのモサ太郎が遊びに来た」
とか書いているものだから妖精は吹き出してしまった。
そして妖精は日記帳に挟まっていた紙切れを何だろうと裏返したらそれは
「砂丘パレス様
  ・砥石@1G x20s
 28日、29日、30日、31日…」
砂丘パレス氏との1G交換リストであった。
「砂丘パレス氏とおじいさんは友人だった……?」
この二人の為に長い待ちぼうけを食らっていたのだと思うと、心は感情の渦に飲み込まれた。
「もしおじいさんが生き返ってしまったら……私はどうすれば良いの!」
妖精は悩み、部屋の中を物色していたら答えが見つかった。スピードポーションだ。

【am4:00】
妖精は彼女よりも先に一人、真珠島の岬を目指していた。
マングローブの上を渡り歩き岬につくと、爺さんは口を馬鹿みたいに開けて、仰向けに横たわっていた。もうハエも飛び回ってるし、肉も崩れかけている。
スピポを一口、妖精は飲んだ。
太陽が高速で登ってきたかと思われた刹那、そこには筋肉隆々のお使い妖精の姿があった。
「あばよ爺さん! 借りは返させてもらうぜ!!」
「ワッ、ワシはまだ死にたくない! オワァ~!」
妖精がおじいさんの口に丸々一本スピードポーションを注ぎ終えるとおじいさんの肉体はもろく崩れ去り、風と共に消えた。

【am5:00】
遅れて岬に辿りついた私は骨にすがって泣いた。そんな私の気も知らず、妖精はそっと涙をふき取って
「残りの魂の水を飲むのは、君だ」
と言っておじいさんの傍らに置いてあった魂の水を差しだした。
「えっ、でもこれ…」
私がそれを受け取るのを確認したのか、お使い妖精は天高く舞い上がって光の中に消えた。私はまた呆然とするばかりであった。(仕方なく私は魂の水を飲んだ)

 

おわり。
p.s.複垢ではない

追記(0:45 2018/02/22)
2/21に作業「使い魔を召喚する」が追加されたため以下の内容を編集しました。

野良猫 → 野良にゃんこ

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