【初心者物書きが書いた創作小説です。拙いところも多いですが、生暖かい目で見てください。】
「ここが、私のお店…」
エメラルド街の角地に立つ小さな建物を見て、パンパンのリュックサックを背負った猫耳の少女はそうつぶやいた。リボンで結ばれた黒髪のツインテールが風になびいているが、紫色の瞳はしっかりと自分の店を見ていた。少女はしばらく佇んでいたかと思うと、確かな足取りで、建物の中へと入っていった。
「あ!あなたがツミネコさん?」
少しはねたロングの赤髪が特徴的な小さな妖精が、青色の澄んだ瞳をツミネコに向けた。
「えぇ、私がツミネコよ。…私のお店で働いてくれる妖精さん?」
「うん!私の名前はキーナ。で、私の後ろにいるのが弟のゾージャだよ。」
キーナと同じような赤髪を持った妖精が、キーナの後ろからそっと顔を覗かせた。人慣れしていないのか、少し不安そうな顔をしている。
「キーナとゾージャ、ね。弟ってことはあなた達は兄妹なの?」
「そう!私が姉で、」「…僕が、弟。」
明るくハキハキと話す姉に、人見知りでボソボソと話す弟。対象的な兄妹だ、とツミネコは思った。
「へぇ……よろしくね、キーナとゾージャ。」
「うん!よろしく!」「…よろしく。」
この2人…2匹?とは上手くやっていけそうだ。きっと良い店が出来るだろう。繁盛している自分の店を想像して、ツミネコは口元を緩ませた。
周辺の店で必要なモノを購入し、一息ついたところでツミネコが話を切り出した。
「…さて、とりあえず何をしましょうか。」
手元には、政府から配給された「近所の地図」や「やり直し券」、「スピードポーション」があった。やり直し券やスピードポーションを使うにはまだ早いため、近所の地図を使うことにした。
「…使うといっても、どうしたらいいのかしら…」
頭を抱えるツミネコに、いつもは何も喋らないゾージャが珍しく声をかけた。
「……それで、探索に行ってこようか?」
「探索?」
「……うん。探索して、使えそうなアイテムを取ってくる。」
ツミネコの声に頷きながら、ゾージャは言った。
「ふぅん……なら、お願いしようかな。」
近所の地図の地図を何枚か渡し、ゾージャを探索に行かせた。
「ゾー君いってらっしゃーい!」 キーナは窓から飛び出すゾージャに大きく手を振った。
「……窓じゃなくて玄関から出てほしいんだけどなぁ。」
そう苦笑しつつ、ツミネコも軽く手を振った。何を持ち帰ってくれるのだろうか。窓から身を乗り出しながら、ツミネコは期待に胸を膨らませた。
この無知な少女が「孤高の行商人」になり、最初は使う側だった近所の地図を、この時は想像出来ないほど作るようになるのは、また別のお話。
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