創石記第一章
創石記第二章
・第一節
人間たちは各々の街で暮らしていた。
街にはそれぞれ美しい自然があったが、これを巡って争いが生まれた。
・第二節
水や食物を求め、貧しい者が富める者を妬み、嫉み、疎み、襲った。
乏しい街が豊かな街を羨み、奪い、飲み込み、貧苦が伝播した。
・第三節
主は、略奪を繰り返す残忍な砂漠の民に訊ねられた。
「人の血を流すものは、人によって血を流される。なぜ無益な争いを続けるのか。」
・第四節
砂漠の民は答えた。「私の街には水が湧きません。肉やパンもありません。」
「飢えと渇きは砂では癒えません。」
・第五節
主は石塊からパンを造形し、砂漠の民に施された。
主は告げられた。「お前たちにパンを与える。貧しい者へも分け与えよ。」
・第六節
人間は石を糧にはできず、砂地には捨てられた石が山積した。
やがて、人間たちは石を用いた木槌を造りはじめた。それは命を奪うのに適した道具であった。
・第七節
人間は争いを激化させ、島は荒廃していった。木はなぎ倒され、水は朱に染まった。
主が転がる中つ園のみが美しい姿を残していた。
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