・第一節
主は島に土を盛り、砂をちりばめ、水を流された。
また草を芽生えさせ、森を育まれた。
・第二節
主は島の中心部に最も美しい園を造られた。
泉には主の魂が込められた水が湧き、樹にはたわわな林檎が実った。
・第三節
主は人間を園に住まわせた。
やがて人間は子を成し、子孫は島の端々で街を築いた。
・第四節
ある日、主は園を転がっていた。
人間はその御姿を見ると、園の木に身を隠した。
・第五節
主は訊かれた。「なぜ身を隠すのか。」
人間は答えた。「私は裸であり、身を覆う物が無いのです。」
・第六節
人間を憐れんだ主は、石から幾万羽もの鳥を造り、命を吹き込まれた。
鳥達は解き放たれ、街を目がけて羽ばたいていった。
・第七節
主は言われた。「この鳥たちを見よ。彼らは裸ではあるが、雄々しく天の大空を翔けている。」
「お前に足りないのは身を覆う服ではなく、心を纏う勇気だ。」
・第八節
島中の人間たちはみな鳥を打ち殺し、その羽根から服を仕立てた。
大地には鳥の羽根が幾重にも重なっていた。
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