毎年の恒例行事としてパプリカ祭を迎え、にわかに盛り上がるいつもどおりのMUTOYS島。
ですが、今年はなにか様子が違います。
いつもなら市場にいるあの子達がいないのです。
「おーい、どこへ行ってしまったんだよう。」
呼びかけても帰ってくるのはこだまばかり。
一つの音色も帰ってきません。
どうしてこんなことに、なんで、私たちはみんなを失う覚悟なんてできていないのに。
ああ、どうして、どこに行ってしまったの、愛しの……
愛しの、楽器たち……
それは数日前のこと、パプリカの祭囃子が島を覆い始めたその頃は、お囃子があったとおり、まだそこには楽器も音色も存在していました。
人々はコイン探しに島の方々に散り、ある者はおばけのお家を建て、ある者はモンスターたちを冷やかしに行きました。
その中には、スカルドラゴンの前でどんちゃん騒ぎをしてやろうと企むものもいました。
楽器職人たちは、弾き語りやどんちゃん騒ぎをするという変わった人たちのため、いつものように楽器を作り、販売棚に並べました。
「うーん、やっぱりいつもよりよく売れる!」はじめの頃はただそう思っていたのです。
「あれ、さっき補充したのにもうないぞ?」
「うーん、少し売れ過ぎかな?ちょっと値上げさせてもらおう。」
「えっ!?こんな値段でも買っちゃうの?ええい、だったら、思い切って!」
「売れてしまった…。ああ、もう、楽器は、ない。」
もう 楽器は ない
もう 楽器は ない
もう 楽器は ない
どんちゃん騒ぎを続けられ、寝不足で混乱しちゃったスカルドラゴン。ちょっぴりコインの羽振りが良すぎたようです。
コインが人を呼び、人がどんちゃん騒ぎを呼び、どんちゃん騒ぎがコインを呼ぶ。そんな、コインスパイラルが生まれたのかもしれません。
どんちゃん騒ぎに消費される楽器たち、もはや楽器職人の手には余るスピードでした。
ああ、楽器よ、音楽よ、君たちがスカルドラゴンの前から帰ってくるのはいつになるのでしょう。
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