君は覚えているだろうか、その手にバチを持って生まれ出たあの日のことを。地に太鼓が満ちていた日々を。
MUTOYS島、その島は始まりの商売人が足を踏み入れるまで未開の地であった。
この地に移り住んだ人々は、生きるため、文化を築くため、様々なものを求めた。
そして、その中の一つに太鼓があった・・・
だが、ある日商売人たちは気づいたのだ。太鼓という至極単純な楽器が、どの楽器よりも作り難いことに。
おかしい、きっと皆そう思ったはずだ。そして、ある人はこうも思ったそれは本当に"ただの太鼓なのか?"と。
まず、太鼓の原料を見てみよう。
革、丸太、枝、その他道具類。なるほど、ここまではいかにもと誰もが納得するだろう。
だが、少量ながらもう一つ要求される原料がある、神秘の金属ミスリルのインゴットだ。
ただの太鼓に使われる金属など、せいぜい鋲であろう。だが鋲なら鉄で事足りるはずだ。ではなぜ、ミスリル出ないといけないのか?
鉄になくミスリルにあるものは、そう、神秘・・・、つまりはMUTOYS島の太鼓とは神秘性を与えられた何者かなのである。
太鼓に神秘性を与える意義も効果も、今はまだ謎に包まれている。
もしかすると、ミノバター作りが神秘の一側面なのかもしれない。
だが、私にはそんなことよりももっと大きな"なにか"を感じざるをえないのだ。なぜだろうか。
・・・MUTOYS島に住まうものなら一度は神の噂を聞いたことがあるだろう。
神の姿は、青く、そして丸いという。そう、丸いのだ、太鼓のように。
私は、おそらく一つ知ってしまったのだろう。
いや、おそらく違う。私は導かれるままに進んでいるのだろう。
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