創作です。~中略~ブラウザバックしてください
アダマンチウム街の某所、ここは*ぷちゅ*と言う店名を掲げる信頼の農家である。
店名の由来はオーナーの出身地に基づくのだが、オーナーの一族が弾け飛ぶときの擬音であるそうだ。おかしいのは見た目だけではないのだと、この時私は強烈に実感した。
そんなオーナーを名乗るトチ狂った謎の生物がデスクに乗り、神妙な顔をして呟いた。
「石を……集めようと思う」
「あ゛ぁ?」
これにドスの効いた可愛らしい声で答えたのはここの妖精さんたちをまとめる妖精さん、人呼んでドスようせ「ころすぞ」……もとい、妖精チーフである。
「オーナー、前回あなた言いましたよね? 農家一本でやっていくと」
「少し待ってほしい、言い訳を……言い訳をさせてほしい。仕事が早いのは素晴らしいがせっかく集めた石を振りかぶるのは止めて欲しい」
オーナーは目に見えて焦っていた。
ただ、石を投げられようと、たとえ爆発四散しようとも、数分あれば再生する能力が備わっている彼の肉体ならば、投石程度脅威にはならないはずである。
しかし、彼は以前こう語っていた。
「大して痛くもないし数分間で戻るけどさ……なんていうか、こう、あれだよ……とにかく嫌なんだ」
直後、横で聞いていたチーフのボディブローによって爆散した。ふわっとした表現が気に食わなかったと、チーフは拳についたオーナーの破片を拭いつつ言っていた。
まさに平身低頭と言った様子を見せるオーナーに、チーフは手を下ろし大人の余裕を垣間見せた。
「聞くだけは聞きましょう」
「流石はチーフ! 話が分かるぅ~あちょっと待って調子に乗ってすみま」
*ぷちゅ*
(申し訳程度の元ネタリスペクト)
数分して、彼は語り始めた。店に備えられた小さな窓、小柄なオーナーにとっては出入り口になりうる程の大きさのそこから外を眺め、恐怖に震えつつも努めていつも通りに声を発する。
「ここってさぁ……地面ばっかりじゃない?」
「えぇ、そうですね。農家に最適だと聞きつけたあなたがここを選んだそうですね」
農家にとって土は最重要資源である(多分)。一部そうでない作物もあるが大体の作物は土を必要としており、地面であれば多くの作物が十二分な収量を得られるので、農家の聖地とも言われている(と思っている)。
「そうそう。でさ、地面って岩も多いじゃない?」
「農家には関係のないものですが、存在していることは確かですね」
そう、地面には岩資源も豊富である。石を取るためにはこの岩資源が重要となるが、岩が最も多い地形というものは(恐らく)存在しないため、採石をするなら十分な候補に入るのがこの地面地形である。
「そんで今ってさ、石高いじゃない?」
「概ね単価50G程で取引されていますね。やや高騰しているのは間違いないでしょう」
1/28に登場したクァクァオなる作物によって石相場は跳ね上がり、続く2/4に追加されたチョッコレイトなる麻薬食物によって高い値段で安定することとなった。(2/15現在)
そういった情報の裏付けを以って、オーナーは勝利を確信したかのようにしたり顔を浮かべ、高らかに宣言した。
「だったら採るしかないじゃな」
*ぷちゅ*
……なんで投げたんですか?
「したり顔が気に食わなかった」
さいですか。
数分後、流石のオーナーもやや悄然とした様子を見せていた。さしものチーフもその様子を見てやさしい言葉を
「いちいちふざけないと話もできないんですか?」
「ごめんなさい」
掛けることはなかった。
相手がどんな様子であっても、言うことは言う。それがこの妖精チーフである。
「要点を話しなさい」
「はい」
なおも石を手で玩ぶ妖精チーフに、さしものオーナーもふざける余裕なく話し始めるのだった……。
要約
――曰く、節分以来パプリカの種がやや高く、市場から購入することに抵抗を感じる。
――曰く、パプリカの種はレベルによる作成料に差が無い(少ない?)らしく、錬金術のれの字も知らないオーナーでも可能だと感じた。
――曰く、材料費的にネックとなる石も地面であれば自給が期待できるため、原価の削減に役立つはず。
――曰く、ゆくゆくはゴーレムに手を出したいので錬金術師レベルを上げておきたい。
「なるほど、言いたいことはわかりました」
「認めてもらえますか」
一通りの主張を聞いたチーフはそう言って理解を示した。
「パプリカの種は値下がり傾向があるもののやや高い状態ですし、そもそも石が値下がらない限り元の値には戻らないでしょう。加えて、原料というものはイベントごとに値が大きく変化するものですし、今後同じことが起きないとも限らない」
「はい」
チーフは目を閉じ、確認するかのように呟やいていく。
「ゴーレムを目指す云々はともかく、実際的にパプリカは非常に人気の高い作物です。それを原価を抑えて安く供給できるというのは一つ、強みになります」
「ということは……!」
オーナーが声を震わせて呟く。チーフはその様子をちらりと窺い、言った。
「農家として上を目指すという目的にも反してはいないようですし、良いでしょう。ひとまずは試験期間を設け、その結果如何で是非を決めるとしましょう」
「ありがとうございます! っしゃーやったるでー!」
オーナーは早速採石の指示を作業妖精たちに与えた。農作業漬けだった妖精たちは勝手の分からない様子ではあったが、気分転換だとでも言わんばかりに喜び勇んで店を出て行った。
この判断が今後吉と出るか凶と出るか。それはまだわからない。しかしきっと無駄な時間となることはない。私はそう確信している。経験値的な意味で
これにて私こと、販売妖精の議事録を了とする。
いくら道から離れていて暇だからと言って、契約外の仕事をさせるのは止めて欲しいものである。
次回は未定である。今回限りとは限らないということがただひたすらに憂鬱である。
ここまでお付き合い頂いて嬉しい限りである。皆様のSO2ライフに幸多きことをお祈り申し上げる。
結局何が言いたい?
兼業が……してみたかったんです
終わり
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