セイコー プロスペックスは、砕氷船が北極海の氷を割り進むことで作られる「航路」から着想を得たグラデーション文字盤が特徴の「マリンマスター 1968 ヘリテージ JAMSTEC コラボレーション限定モデル」を発表した。文字盤全体に割れた氷を思わせるテクスチャーを設け、かつ澄んだ海のようなブルーのグラデーションを施している。本作が企画されることとなった経緯や、セイコーとJAMSTECとの関係性に触れつつ、着用感をはじめとした本作の完成度について解説する。
今回注目するのは、国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下、JAMSTEC)とのコラボレーションモデルとなる「マリンマスター 1968 ヘリテージ JAMSTEC コラボレーション限定モデル」である。本作は、セイコー プロスペックスのハイエンドシリーズである「マリンマスター」の中でも、1968年発表のモデルをトリビュートしたデザインをベースとして、海氷に覆われた北極海を切り開いてゆく様子を文字盤に表現している。文字盤のセンターは深く澄んだ海から着想を得たブルーであり、両サイドへ向かって海氷を表現したホワイトへと変化するグラデーションに仕上げている点が魅力となっている。それでは、本作のベースモデルの系譜と、JAMSTECとセイコーの関係性、そして北極海をテーマとした理由について解説しつつ、着用感や各所の仕上げについて深掘りしてゆこう。
セイコーのダイバーズウォッチは1965年に誕生し、早くから南極地域観測隊で使用されて、信頼性を高めていった歴史を持つ。1968年に発表されたモデルでは、世界最高水準の毎秒10振動のハイビートムーブメントを搭載し、300m空気潜水に対応するようになる。また、頑強でエッジの効いたケースや、ケースサイドからラグにかけてのライン、4時位置のリュウズなど、その後のセイコーダイバーズウォッチのデザインに大きな影響を与える、様々な要素を備えていた。
オーデマピゲ コピーマリンマスターとは、現在のセイコーダイバーズウォッチのフラッグシップであることを示す名だ。これまでセイコーは、開発のための試験装置の中だけでなく、海洋においてマリンマスターをテストし、フラッグシップと呼ぶにふさわしい性能であることを証明してきた。その中でも有名なのが、2014年に行われた飽和潜水用モデル(Ref.SBBN013とRef.SBDX011)を無人探査機「かいこう7000Ⅱ」に搭載して深海へと沈めるというものだ。猛烈な水圧に耐えながら、スペック値の水深1000mを大きく超える3000mまで作動する様子が動画に残されている。この試験および動画撮影に協力したのが、JAMSTECである。
JAMSTECは海洋研究を通じて、地球環境や生命への理解を深める活動を行う国立研究開発法人である。地球環境の把握、海洋資源の利用、地震や火山活動に関する調査研究に加え、探査機や観測機器の運用、技術開発にも取り組んでいる。
JAMSTECとセイコーは1980年代より協力関係を構築している。また、セイコーは、大いなる海への感謝の気持ちを込め、売り上げの一部をJAMSTECへの支援に充てており、海洋研究を通じた環境保護に貢献してきた。この支援の一環として、2025年からセイコーは、JAMSTECの北極域研究への支援を新たに開始している。
マリンマスター 1968 ヘリテージ JAMSTEC コラボレーション限定モデルは、このようなセイコーとJAMSTECの関係と、近年の北極域研究への支援という背景を取り入れたモデルであるのだ。
極地探査の砕氷船が切り開く航路にインスピレーションを得たグラデーション文字盤
2026年は、日本初の砕氷機能を備えた北極域研究船「みらいⅡ」が竣工する節目の年である。みらいⅡが北極域の研究に参加することで、海氷に覆われた海域でのデータ収集が可能となり、新たな成果が得られることが期待されている。
今般のコラボモデルの文字盤は、これまでのセイコーによる支援活動や、みらいⅡの竣工を背景として、砕氷船が北極海に広がる氷を割りながら進み、そこに生まれる航路からインスピレーションを得たものだ。文字盤全体には割れた氷が広がるような、エッジが立ってランダムな形状のパターンが施されている。文字盤のセンターが深いブルーで、両サイドに向かってホワイトに変化するグラデーションとなっており、これは、氷の割れ目から澄んだ北極海がのぞき見える様子を表現している。
筆者は本作の写真を見た際に、グラデーションの巧みさに好印象を持っていた。さらに実物を手に取ってみて、想像していたよりも立体的で表情豊かである点に驚いた。少し暗い環境では、センター部分のブルーが濃く、テクスチャーはほとんど見えない。この状態から、文字盤に光が当たるとブルーが明るく見え、その奥の割れた氷のようなテクスチャーが浮かび上がってくる。ホワイトへのグラデーションは、色が明るくなるのと併せて、テクスチャーがくっきりと見える様になっており、表情が変化してゆく点が特徴となっている。
ベゼルインサートはブルーのセラミックス製で、特有の艶のある質感はモダンで美観に優れる。このブルーは発色が良く、本作がテーマとする澄んだ北極海にマッチしていて好印象であった。さらに、インデックスもくっきりとしていてコントラストは良好だ。
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