時代の変化や流行に流されず、一貫してクオリティを提供する時計ブランドには、創業から1世紀を超える存在も少なくない。とりわけ機械式時計に対するこだわりの強いブランドは、ユーザーが求める厳しい基準を満たして信頼や安心を獲得してきたからこそ、現在の地位を確立しているのだ。本連載では、1世紀以上の歴史を持つ10の名門をピックアップ。第1回は【ロンジン(LONGINES)】で、航空時計に焦点を合わて解説する。
1832年創業の名門が、有能な時計職人を集めて自社一貫生産する工場をレ・ロンジン村に建設し、新たにロンジンの名を得たのは1867年。その歴史を語るうえで欠かせないのが、航空界との深い絆だ。ロンジンは早くも1911年、飛行士向けに最初期の腕時計型クロノグラフを開発。以後、腕時計は時を刻むだけでなく、時を計測するツールとして進化してきた歴史を持つ。
↑懐中時計をベースにした「Cal.1973N」で、世界最初期のパイロット向けクロノグラフ腕時計を1911年に製造したロンジン。その2年後には、わずか29mm径の「Cal.13.33Z」を開発し、ワンプッシュ式クロノグラフに搭載。3時位置に30分計を配し、1/5秒単位の計測を可能とした。
ニューヨーク・ルーズベルト空港を飛び立って33時間30分後、暗闇に浮かび上がるエッフェル塔の灯りを飛行中に見つけ、愛機にリンドバーグがそう語りかけた逸話は有名だ。しかし、このセリフは日本語版自伝の脚色だったことが判明している。それでも弱冠25歳、無名の郵便飛行士だった彼が、大西洋単独無着陸飛行に成功して一躍“英雄”となったのは事実。1919年に大富豪が2万5000ドルの賞金をかけて実に8年、多くのパイロットが挑戦し、ことごとく失敗に終わっていた。成功の理由は、目印のない大洋上で時計とコンパス、海図だけを頼りに正確なルートを割りだせたことである。
この冒険の公式計時を担っていたロンジンが開発した1931年の「アワーアングルウォッチ」は、針の位置と回転ベゼルの目盛りから時角(アワーアングル)がわかり、弧分が読み取れ、現在地(経度)を特定できる。これが本格航法によるナビゲーション時計の起源だ。回転ベゼルといえばダイバーズの印象が強いが、ロンジンはアワーアングルウォッチをはじめ、航空時計の分野でも開発に積極的だった。「ロンジン パイロット マジェテック」も1935年の初号機からマーカー付き回転ベゼルを備えていたし、歴史を遡ると1920年代前半に回転ベゼルを初搭載した「アビーエーションカウンター」を製作していた。
歴史的な意匠を継承しながら、グレード5チタンで軽量化した2024年新作は、オリジナル誕生年にちなんだ世界限定1935本。エルメス コピー全体をモノトーンで統一したストイックなルックスが話題だ。ムーブメントは現行と同じく、シリコン製ヒゲゼンマイの採用により耐磁性を備え、COSC認定クロノメーターの高精度を誇る。
伝説的な航空時計“マジェテック”に由来するステンレススチール製クッションケースに、スタート時間を示せるマーカー付き回転ベゼルを組み合わせた一本。ヴィンテージ調の夜光付きアラビア数字やレイルウェイ分目盛り、6時位置のスモールセコンドの意匠もオリジナルを踏襲する。
そのほかGMTやフライバック機能の分野でも、ロンジンは時計界をリードする先駆者だった。そんな輝かしいヘリテージを継承したクラシカルな雰囲気と、現代的なハイスペック、洗練のデザインを備えた数多くのコレクションは、時計愛好家たちの心を強く掴んで離さない。
関連リンク:https://hub.docker.com/u/jkdfkopi
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