熟練した手作業によって生み出されるゆえ高価格帯のパーペチュアルカレンダー。
その仕組みの簡素化に成功し、この機構をより私たちの手に届きやすくしたのが、IWCのダヴィンチです。1985年のことでした。
通常パーペチュアルカレンダーはこの機構のためにムーブメント設計・製造されますが、IWCでは汎用ムーブメントにモジュール的に永久カレンダー機構を組み込むことで、工程の省略に成功したのです。さらに当時発表されたダヴィンチでは、ただ48ヵ月ディスクを搭載するのみならず、4桁の西暦表示を文字盤上で実現したという点も特筆すべきでしょう。ちなみにこの西暦ディスクを交換することで、2499年表示までが可能とのこと!
まだ暗闇での視認性が確保されていなかった時代、鐘を鳴らして時刻を告げる機構が開発されました。それがミニッツリピーターです。本稿でご紹介する世界三大複雑機構のうち、最も起源が古いと言われています。
17世紀末にイギリスで発明され、その後天才時計師・ブレゲがその小型化に成功、ルイ・ブラン&フィルズ社(現在のオメガ)が1892年、腕時計に初めて搭載させました。
ミニッツリピーターは通常、音を鳴らすためのゴング(鐘)とハンマーが大小1つずつ付いていて、大きいハンマーがゴングを鳴らす回数によって「何時」を、小さい方が回数によって「何分」かをあらわす音を出します。大小両方のハンマーを同時に鳴らすと15分ごと(クォーター)の時間を知らせてくれます。
一連の操作を制御するために、プッシュボタンやスライドピースまたはレバーなどが時計本体に取り付けられています。
なぜなら、ただでさえ狭いスペースの中でゴングとハンマーを搭載させ、かつ音がこもらず、美しい音色を奏でられるよう設計しなくてはならないため。ムーブメントを守るためにケースの気密性を高めることは実用時計として不可欠ですが、一方で音を響かせるためにはある程度のスペースがなくてはなりません(もともと懐中時計の時代から大きく基本原理が変わらないと言われており、腕時計サイズに収めることは至難の業)。
ちなみに仕組みを簡単に解説すると、リピーターのためのミニッツスネイル・クォータースネイル(15分用)・アワースネイルが取り付けられており(スネイルは手裏剣のような形状をしたカムのこと)、ミニッツとクォーターは分車、アワースネイルは時車と連動しています。
同機構を作動させると、それぞれに搭載されたレバーが各スネイルの位置に動きます。レバーはスネイルの段差によって現在時刻を読み取り、読み取られた時刻はレバーのラック(円形歯車)に伝わり、その時刻分ハンマーを動かします。
関連リンク:https://www.rasupakopi.com/omega_z145.html
なお、これらのための動力はゼンマイのみです。十分なエネルギーを有していなくては思いハンマーを打ち鳴らすことはできないため、長いパワーリザーブを必要とします。
こういった背景から、非常に難易度の高い複雑機構となっているのです。
タグ:オメガコピー
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