やあ、ぼくはとんがった木。
とんがった木たちの中でも、とても昔からいて、それはもう天に向かってとんがった木なんだ。
ぼくはずっと昔からこの島を見ている。
ぼくが生まれてから長い間、このあたりで見かけるものなんて、同じくとんがった仲間たちや、ときたま飛んでいく妖精さん、夏にだけやってくるちび助くらいのものだった。
あ、でもある日にはめずらしくミミ星人の団体さんが来たりもしたね。あの子たちは砂糖水が好きらしくて、樹液も出ないし葉っぱもとんがってかたいぼくにはなんの興味もなかったよ。
でも最近はそうじゃない。
ある日、人間っていうのが1匹やってきたんだ。
そこからはもうほんとうに目まぐるしかった。どんどんどんどん変わっていった。ぼくにとってはじめての光景だ。ぼくはなんだかとてもわくわくして、たのしかったんだ。
人間たちは、どこからか、どんどんたくさんやってきて、その中にはお店っていって、これまたたくさんの人が出入りするものをかまえたりするんだ。
あと、これはなんでかわからないけど、人間たちはぼくの仲間を増やしたりもした。気づけば、背の小さいやつらしかいなかったところも、ぼくの仲間でたくさんになっていた。
ほんとうにこんなのははじめてだ。次は何がやってくるんだろう。次はどんなことがおこるんだろう。
「おお、お前さんが言ってたのはこいつか!」「はえー、でっけえなあ。」「こいつはいいぞ!ぴったりだ!」
うーん、にぎやかになったとはいえ、今日はやけにさわがしいな。
あれ?なんだかぼくのまわりに人間が集まってみたいだぞ。なんだろう?
「よーし、そいじゃ行くか!」「「「オーッ!!!」」」
ズンッ
ッつあ!えっ?!なにをするの?!やめてよ!?
ズンッ! カーン!
ねえ!ぼくは、ぼくはなにもしてないよ!わるいことなんてしてないはずだよ!
ズンッ!カーン!
ズンッ!カーン!
ずささっ!どぉーーーん!!!
「こいつぁ盛り上がるにちがいねえ。」「きっと島中から見に来てくれるぞ。」「これでここももう一段と盛り上がるな!」
「おうよっ!早えが一杯行っとくか?」「そりゃ気が早えよ、まだ大事なことが残ってんだろ。」
「ああ、そうか、これじゃただのとんがった木だもんな。さっきまでと何も変わんねえや!」
「さあ、次は飾り付けだ!作ろうぜ、島一番の飾りツリー!!!」
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