うちの妖精がガラスになって一月経った。
炉に落ちるなんて、悲しい事故だなんて慰められたが、そうじゃない。
誰かに殺されたのだ。
よくもやってくれた。
組合で協力を呼び掛けたが協力者はなし。
情報もない。
島民が全員グルだと疑うくらいに情報が無い。
島内がダメなら島外だ。
旅人に情報提供を求めた。
当然というか、手がかりは無かった。
だが勉強にはなった。
外の世界はこちらとだいぶ違うらしい。
特に気がかりなのは、妖精が存在しない国があること。
商人目線になってしまうが、そこに存在しないものには高値が付く。
うちの妖精はその国に連れ去られたのかもしれない。
そう思った。
どうか生きていてほしいと、希望を持って。
すぐに出航の手続きを取るが、難航。
旅人は行き来しているというのに俺はダメだそうだ。
なにかおかしい。
通常の10倍の船賃でようやく乗せてもらえることに。
こんなにボられるとは。
しかし旅立の目処は立った。
出航は明日。
最後に世話になった組合へ挨拶に行くとする。
そこにいたのは怪訝な顔をした組合員の姿。
手に持った袋を渡された。
それは綺麗な羽根だった。
ガラスのような。
いつも見ていた羽根。
彼が言うにはこれが組合の机においてあったという。
そしてこれ以上の詮索は辞めるべきだと言った。
悩んだ末に、俺はそれを受け入れた。
羽根は受け取ったが案の定、3日も経たずに無くなった。
俺はまだ諦めてはいない。
普段の生活を続けつつ、目を光らせる。
この島には。
どこかにおかしなところがある。
それを見つけるのだ。
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