0. 長い、三行で
①(相対的な)商品の価値を知る方法を確立した
②競合を完全になくし、同カテゴリの商品二種のみを並べよ 拮抗した価格が相対的な価値である
③「〇〇Gで××個売れます!」は信頼性に欠ける
<目次>
1. 前書き
2. 定義
3. 内部価値の測り方(RIVはさみうち法)
4. ミスリルの杖は鉄の杖何個分の価値があるか?
5. 競合の強さは内部価値で調べるべき?
6. 参考文献
1. 前書き
初めましての方は初めまして。そうでない方はお久しぶりです。耐火煉瓦工務店#65122と申します。
今回はSOLDOUT2の中で最も難解な問題の一つ、【内部価値】の調査方法について、一定の成果を挙げることができたため報告させて頂きます。
「広告で気になるレシピがあるけど、売れなかったらどうしよう……」「苦労して開発したレシピが全然売れない!金返せ!」といった問題を抱える商人の皆様にとって、この記事がお役に立てれば幸いです。
2. 定義
実際に内部価値を調べる方法を説明する前に、まずはこの記事において使用する用語を定義させて頂きます。独自解釈が多分に含まれるため分かりにくいと思われますが、今後の説明に必要ですのでご容赦ください。
1. 内部価値
ある商品Xが持つ価値。住民評価額*1とも。内部パラメータとして存在が推測されているが、真の値を知ることはできない。
2. RIV(Relative Internal Value, 相対内部価値)
同一カテゴリの商品Yを一定の価格で置いた時、商品Xの売上が商品Yと拮抗する価格。理解が難しい場合は内部価値と大体同じと考えて良い。対照となる商品Yによって変動するが、調査によって調べることができる(独自解釈)。
3. 盾おじ仮説
①他店舗の競合が存在せず*2、②同カテゴリである二種類の商品のみを棚に置いたとき、そのカテゴリの第一関心の住民は最も価値が高く最も棚IDが若い商品のみを購入する仕組みと、それを前提とした仮説*3。盾以外のカテゴリにも適用できることが判明した(未発表)。
4. 第一関心
住民が持つ関心(街の住民情報より確認可能)のうち、最も左側に記載されている商品カテゴリ。便宜上、左から二番目に記載されている関心を「第二関心」、関心としては記載されていないものの比較的購入しやすい商品カテゴリを「第三関心」と呼ぶ(独自解釈)。
5. V/P比(Value per Price ratio, 価値対価格比)
商品の価値に対する設定価格の比。ある商品の内部価値(またはRIV)Xに対し、ある価格Yを設定した場合、そのV/P比はX/Yで表せる。この値が高いほど、競合に強い可能性が今回の研究で示唆された(独自解釈)。
6. 測定商品/対照商品
RIVを測定する商品と、基準とする商品。対照商品の価格は固定し、測定商品の価格を変えて調査することでRIVを推定する。
3. 内部価値の測り方(RIVはさみうち法)
今回提唱する内部価値の測定方法では、前述の「盾おじ仮説」を利用します。具体的には、以下の条件を満たした状態で調査したい商品を第一関心に持つ住民が選択した商品を記録します。
①他店舗からの競合が発生していない。
②自店舗の棚において、測定商品と対照商品の二種類のみが売られている。
この時、盾おじ仮説により販売商品を第一関心とする住民は、必ず(または非常に高い確率で)V/P比が高い方の商品を選択することが分かっています。従ってこの方法により、測定商品と対照商品のどちらの方がV/P比が高いか調べることができます。
続いて、対照商品の価格を固定しながら、販売商品の価格を少しずつ変えて同じ調査を繰り返し、第一関心の住民が測定商品を購入する上限額と対照商品を購入する下限額を探します。この上限額と下限額の間にある価格こそが、設定した対照商品とその価格に釣り合う測定商品の価格です。
このRIVの測定方法を、今後RIVはさみうち法と呼称することにします。
4. ミスリルの杖は鉄の杖何個分の価値があるか?
それでは、実際に「RIVはさみうち法」を用いて、ミスリルの杖と鉄の杖のRIVを調べてみましょう。
調査中は他店の棚による来店率向上が見込めないため、調査は棚数が多いテナントやマーケットが望ましいです(他店舗形態でも調査は可能ですが、当然ながら棚数が少ない程調査効率が悪化します)。
また、第一関心の住民は最もV/P比が高く、最も上にある棚の商品を購入します。そのため、各商品の一番上に位置する棚の商品は多めに配置しておくと良いでしょう。商品の設定価格と相場が近い場合は、棚さらいに遭わないよう数量を調整する工夫も必要です。
今回の調査は2021年7月10日~11日のパール街(0,0)にて、ミスリルの杖を対照商品とし、鉄の杖のRIVを調査しました。
調査結果は画像の通りです。ミスリルの杖を5000Gに設定した場合は2000G近辺で、3750Gに設定した場合は1500G近辺で拮抗しました。この結果から、(少なくとも調査環境においては)ミスリルの杖は鉄の杖換算で約2.5本分の価値を持つと言えるでしょう。更に、対照価格が異なる条件下であってもほぼ同じ結果が得られました。ここから、競合にはあくまでV/P比が影響する可能性が示唆されています。
同様にオリハルコンの杖のRIVを調査した所、画像の結果になりました。ここから、オリハルコンの杖はミスリルの杖換算で約1.73本分、鉄の杖換算で約4.33本分のRIVを持つという結果が導かれます。
また、鉄の杖-ミスリルの杖-オリハルコンの杖3点調査の結果から、オリハルコンの杖1本 = ミスリルの杖×1.73本 = 鉄の杖×2.5×1.73本 ≒4.33という関係が示されました。これは算出したRIVが他の商品のRIV算出に利用できることを示唆しています。今後の研究次第では、全ての商品の価値を客観的・絶対的に調べることができるかもしれません。
5. 競合の強さは内部価値で調べるべき?
今回提唱した「RIVはさみうち法」は、曖昧な売れ行きでしか評価できなかった商品の価値について客観的な基準から測定できる(可能性を持つ)手法です。手法の正確性や再現性については今後更なる研究調査が求められますが、今後住民売りやレシピの研究において大きな意味を持つものであると考えられます。
例えば、従来の簡便な測定方法の一つに「○○Gに設定したら×時間で△個売れた」というものがあります。これは一定期間・一定価格で売れた個数を商品価値として類推する方法であり、感覚的に理解しやすい一方で客観性・再現性を著しく欠きます。適当な商品開発のお試しなら兎も角、住民売り研究や強力なレシピの開発には到底耐え得るものではありません。
どちらがより優れている・どちらかを使わなければならないという話ではありませんが、絶対的な評価ができる本手法が「より高みを目指す」店主の役に立てれば幸いです。
6. 参考文献
*1 レシピ品の住民売り価格を求める計算式(画廊喫茶パルカドット, 2020/6/20)
*2 住民売り考察日記⑧競合範囲(歯車木工店, 2021/6/19)
*3 第三の関心?!隠された住民の好みを暴け!(耐火煉瓦工務店, 2021/3/31)
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